長期信用銀行について詳しく解説します!

今回は長期信用銀行について調べてみました。

長期信用銀行の意味

「長期信用銀行」は、「長期信用銀行法」を根拠法とする、金融機関です。現在は、「長期信用銀行法」に基づく金融機関は消滅しています。

長期信用銀行の特徴

「長期信用銀行」は、預金の受け入れと引き換えに債権を発行することで資金を集めて、設備運転資金や、長期運転資金の貸し付けを行うことを主な業務とする、という特徴をもった機関でした。

「長期信用銀行法」に、「銀行法」を根拠法とする「銀行」ではない、と規定されています。

長期信用銀行の例

「長期信用銀行」は現在、存在していません。かつて「長期信用銀行」として営業していたのは、「日本興業銀行」「日本長期信用銀行」「日本不動産銀行」です。

現在は、「長期信用銀行」から「普通銀行」に転換、あるいは解散しています。「日本興業銀行」は「みずほホールディングス」の設立後に、吸収・解散し、「日本長期信用銀行」は「新生銀行」に、「日本不動産銀行」は「あおぞら銀行」に変わっています。

長期信用銀行の略称

「長期信用銀行」は、略して「長銀」と呼ばれることがあります。
※「長銀」は、「長期信用銀行」のうちの「日本長期信用銀行」の略称として使われる場合もあります。

長期信用銀行の歴史

「長期信用銀行」の歴史を知るには、まず背景となった「特殊銀行」について、知りましょう。

「特殊銀行」とは、戦前の日本で、長期的な設備投資や対外貿易、併合地政策上の事情などから、特別な法律に拠って設立された、政府系の金融機関です。特殊な法律を根拠としているものの、株式会社でもありました。「特殊銀行」は、債券を発行して資金調達を行い、長期の投資・融資を行っていました。

当時の「特殊銀行」の具体例としては、「日本勧業銀行」「日本興業銀行」「横浜正金銀行」「朝鮮銀行」「台湾銀行」「朝鮮殖産銀行」「北海道拓殖銀行」「農工銀行 (日本勧業銀行に吸収)」「貯蓄銀行」などが挙げられます。

戦後、政策によって、これらの「特殊銀行」は解散するか、「普通銀行」へ転換すると決められました。この結果、各銀行が、預金量を越えて融資を行う状態になってしまいました。復興を支えるためには「設備資金や長期運転資金の融資を行う、金融機関の設立が必要である。」という声が高まりました。

そこで1952年(昭和27年)に、「長期信用銀行法」が制定されました。同法に基づいて、戦前に「特殊銀行」であった「日本興業銀行」が「長期信用銀行」となります。また、「特殊銀行」であった「日本勧業銀行」と「北海道拓殖銀行」の資本の一部を元にして「日本長期信用銀行(略称は長銀)」が誕生します。旧鮮銀系の「特殊銀行」の財産を元にして「日本不動産銀行」(日本債券信用銀行に改称、略称は日債銀)が「長期信用銀行」として設立されました。

バブル崩壊などによって、1998年(平成10年)に「日本長期信用銀行」と「日本債券信用銀行」が破綻し、国有化されました。第三者に売却され、2000年(平成12年)に「日本長期信用銀行」は「新生銀行」に改称し、2001年(平成13年)に「日本債券信用銀行」が「あおぞら銀行」に改称しました。

一方、2000年(平成12年)に「日本興業銀行」は、「第一勧業銀行」と「富士銀行」と共に「みずほホールディングス」を設立し、その完全子会社となりました。

その後、「日本興業銀行」は業務の一部を「みずほ統合準備銀行」へ分割した後、「富士銀行」に吸収合併される形で解散し、「富士銀行」は「みずほコーポレート銀行」へと改称しました。「みずほ統合準備銀行」は「第一勧業銀行」に吸収合併されて解散し、「みずほ銀行」と改称しました。(※現在の「みずほ銀行」との区別のため「旧みずほ銀行」として記述します。)

2004年(平成16年)に「新生銀行」が、2006年(平成18年)に「あおぞら銀行」が「普通銀行」に転換しました。これによって「長期信用銀行」は消滅しました。

2013年 、「旧みずほ銀行」が「株式会社みずほコーポレート銀行」に吸収合併される形で統合、「株式会社みずほ銀行」(現在のみずほ銀行)に商号変更しました。

利用者目線での長期信用銀行

現在、「長期信用銀行」は存在していないため、利用することができません。

一般向け「金融債」(銀行債)としては、利息の有無によって利付金融債、割引金融債が販売されていました。利付金融債には「リツ…」などという商品名、割引金融債には「ワリ…」のような商品名がつけられていました。「長期信用銀行」から「普通銀行」に転換した後も、扱われていたので、聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。

「長期信用銀行」を元とする「新生銀行」や「あおぞら銀行」は、古くから「普通銀行」として営業していた銀行と少しカラーの違った個性があります。

長期信用銀行を知ると銀行や金融の変化が見えてくる

「銀行」という名前がつくと「普通銀行」の業務内容をイメージする人が多いのではないでしょうか。

「長期信用銀行」は銀行だけれど、銀行ではない、独特の金融機関でした。「長期信用銀行」としての役割を終えて「普通銀行」に着地した銀行が、他の銀行と異なる営業形態をとっているのも納得できたのではないでしょうか。

「長期信用銀行」の歴史から、社会の状態によって、必要とされる金融の仕組みが変化するということがわかりますね。

日本では、海外の動きに伴って、キャッシュレス化の動きが進んでいます。金融の仕組みが変化することで「銀行」をはじめとする金融機関の形態も変化していきそうです。

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